リニア誘導・同期モータ模型

製作した過程や、できあがった模型の動作を紹介します



模型の完成全体像

パッと見て見て分かるように、ハンドルでゴムベルトを回す機構。
ゴムベルトを回転させるためのローラーを、木でできたボディーから出したねじと、スペーサーで支持している。
天板の上に導体を置き、ハンドルを回せばその動きに引っ張られて導体が動く。

全体を構成する部品は、土台となる板、背板、天板、ベルト、ハンドル周りに分けた。
以下、私が製作した設計図と模型の説明。あくまで一例であり、製作される場合、寸法などは適宜変えてください。
見出しに設計図の画像ファイルへのリンクが張ってあります。

(1)土台となる板

手近にあったことと、軽い割に丈夫、加工が容易、手で押さえても冷たくない、非磁性である、
といった点から木材を用いた。
穴の位置が背板とずれないように注意した。

(2)背板

土台となる板同様、木材を用いて、接合には太さ4mm長さ30mmのステンレス製タッピング皿ねじを用いた。
念のため、接合面に酢酸ビニル樹脂エマルジョン形接着剤を塗布しておいた。
中央付近にある2つの穴は、ローラーの回転軸を取り付けるため、できるだけまっすぐ穴が空いている必要がある。
この穴にはステンレス製M4×50皿ねじを通し、平座金とナットで固定してキャスターを受ける軸とした。
穴はφ3.2なので当然すんなり通らないが、タップをたてる要領でねじを回せば通る。
ある程度通ったところで、電動ドライバ等を使用すると楽である。
その際、摩擦によってねじが熱くなるので触らないように注意が必要。

(3)天板

天板には透明な2.5mm厚のアクリル板を用いた。天板が分厚いと磁力線が弱まるので注意が必要。
アクリル板細かい細工はできないだろうが、この上に導体をのせるため、
表面がつるつるで導体との摩擦が少なくスムーズに動くのではないかと考えたため。
また、透明のアクリル板を使うことで、磁石が動いている様がよく観察できると考えた。
背板との接合には、手元にあったステンレス製M4×8アルミサッシビスを用いたが、木ねじの方が適当だろう。

(4)ベルト

ベルトにはトラックの荷物をくくって固定するために使うゴムベルトを使った。
使ったベルトは厚さ1.4mm幅17.4mmのものである。
このベルトにした理由は、大量に入っており、ローラーの幅とほぼ同じ幅だったためである。
ゴムベルトは加工時に伸びたり、ある程度張力をかけないと空滑りする可能性もあるため、実際にあてがって長さを詰める。
ベルトの上にφ10×3mmのネオジム磁石を隣り合う磁極が逆の磁極になるように配置した。
磁石の固定は初め両面テープで試したが、接着力よりもネオジム磁石同士の吸着力がとても大きくダメだった。
簡単にはずせるようにすることを考えた結果、セロハンテープで巻き付けて固定した。
見た目は少々不細工になるが、簡単確実な方法だった。

(5)ハンドル周り

キャスターの軸をドリルで落として取り出したローラーに必要な穴を開ける。
それに、余ったアクリル板を取り付ける。取り付けるための穴は共穴加工すると取り付けやすい。
ローラーを回すのにそれほどトルクは必要ないので、アクリル板はあまり長くなくて問題ない。
アクリル板の座ぐりをいれた面からステンレス製のM4×50皿ねじを通し、平座金とナットでしっかりと固定する。
その皿ねじに内径4mm長さ15mmのスペーサーを2つはめて、
ねじの余ったところにナット2個をダブルナットにすることでスペーサーを抜けないようにする。


以上の要領でリニア誘導モータ模型、細かく言うと、移動磁界の模型の完成である。
なので、天板の上に非磁性導体を置くとリニア誘導モータ模型に、磁石を置くとリニア同期モータ模型となる。

やってみてわかったこと

・天板に置く非磁性導体は、その抵抗値によって反応が変わる。
アルミ合金や銅合金は動くが、100円玉のようなニッケル合金は動かなかった。

・軽ければ動きがいいだろうと考えて、アルミホイルや薄い銅板を使ってみたが、逆に動きが悪かった。
これはあまり薄いと、断面積が狭くなり結果的に抵抗値が高くなるためだと考えられる。

・自作のガウスメータで磁束密度の変化を測定したところ、正弦波に近い波形でありハンドルの回転に応じて周波数が変化。

・模型本体はなるべく非磁性体で作る必要がある。
磁性体を使うとそれと磁石がくっついてしまう。

・フェライト磁石は磁力が弱いくてダメで、ネオジム磁石でもきっちりつめて並べたほうが良く動く。

実際の動作

実際にどのような動作をするのか動画をおいておきます。
ダウンロードしてから再生してください。
おそらくWindowsMediaPlayerがないと再生できないと思います。

1円玉が動く


0.3mm厚銅板が動く


磁束密度の変化


磁束密度の変化を測定している様子



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